2024年10月27日に第7回日本産業理学療法研究会学術大会を完全オンラインで開催する運びとなりました。その学会長を仰せつかりました坂本親宣と申します。
 本学術大会は日本産業理学療法研究会として初の単独開催となります。そこで本学術大会のテーマは産業理学療法の現状と未来への展望とさせていただきました。近年労働者は多様化しており、生産年齢人口の減少による高齢労働者の増加、労働者の健康問題などへの対応が非常に重要な課題になっております。これまでは治療が中心であった医療業務は予防へのシフトチェンジがなされている昨今、労働災害の防止といった観点から産業保健分野が注目されてきています。
 日本理学療法士協会は2013年に産業理学療法部門を設立し、現在は日本産業理学療法研究会として労働者に健康と快適さを届けるために、個別には心身の状態に適した作業評価・環境評価、身体活動の実践や改善の提案、経営層には社員の健康増進や長期的な採算性に基づく健康経営への支援など労働者と事業者の双方に支援を行うことを目標に活動しています。今後ITがさらに発達してくると思われます。それに伴い労働者の働き方も変化してきます。そうするとまた、これまでとは異なった新たな労働者の健康問題が出現してくると考えられます。
 私たち産業保健に関わる理学療法士はこのような時代の変化を敏感に感じ取り、今後人材育成・エビデンスの構築・対外的な発信力の強化という3つの課題に取り組んでいかなければなりません。そのためには理学療法士の専門性を認知してもらい、関係職種相互の専門性を発揮しながら、産業保健分野の共同体制の確立を目指していく必要があると考えられます。
 本学術大会において産業理学療法の現状を認識し、未来への展望を考えることができることを祈念致しております。

 

 

第7回 日本産業理学療法研究会学術大会
大会長 坂本 親宣
(びわこリハビリテーション専門職大学)